まぼろし月夜、日記

本文書は、私は日記に記していた同ソフトの感想です。
少々悪く書いている部分もありますが、総合的にこのソフトを私は極めて高く評価しております。
高いゲーム性と低い難度が素晴らしい作品ですね。
ドリキャスで最高評価を与えてもよい良策と私は考えます。
以下、日記よりの抜粋です。



7/11
昨日は萌え萌えな一日でした。
まず、大往生。
怪しいロボ少女を選択するので、これもギャルゲーと評価してよいでしょう。
そして帰宅、何を思ったか「まぼろし月夜」なるギャルゲーを買って返ってしまいました。
どうやら萌え萌えな幽霊と同居するゲームのようです。
そして夜中にアニメ版「藍より青し」、
萌えの3乗コムボでした。
このような生活を送ると、多数のギャル(死語)に囲まれて暮らすのが当然のように思えてしまうので不思議です。
私の家にも、5人ぐらいの許嫁(たぶん妹、猫耳、幽霊、女子中学生、にょ、幼なじみ、綾波レイ、メガネっこ等が含まれます)が押し寄せてくるかもしれません。
「葵は〜〜様に嫁ぎに参りました。」とかいいながら和服で三つ指付きです。
そして毎朝幼なじみがおこしに来てくれるに違いないです。
ところで、この「まぼろし月夜」というゲームはキャラクターに名前を付けられるようでした。
そこでギャルゲー準則に従い、実名プレイを敢行。
愛称も入力できるようなので、ここは「いぬふく」に決定。
幼なじみやクラスメートの女の子に「いぬふくちゃん」と呼ばれる日々です。

7/13
「まぼろし月夜」ですが、なかなか気になる箇所がでてきました。
主人公の「いぬふくちゃん」と同居することになった幽霊の「あやめさん」は地縛霊なのです。
彼女は死亡(関東大震災)以来70年間をへて、「魄」(はく)が薄れて消滅しかけており、その期限は長くて9/1(ゲーム上)なのだそうでした。
(この理屈は不明ですが、それはどうでもよい)
この期限までに彼女を成仏させることができないと、彼女は消滅してしまうのだそうです。
そして消滅とは「魂の輪廻」(原文ママ)ができなくなるのだそうです。
脚本を書いた人は理解を持った上でこの文書を書いたのでしょうか。
「成仏」とは文字通り「仏となること」、そして仏となるとは「解脱」を意味する概念です。
過酷な日々が未来永劫、死後も転生の後に継続すること、これが「輪廻」という強迫観念の真の意味です。
そしてこの「輪廻」という苦しみの連鎖から逃れ涅槃に至ることが解脱、すなわち成仏であるはずです。
つまりゲーム中のテキストは少なくとも言葉の定義に於いては間違っています。
日々が苦しみの連続であった南アジアでは現世は逃避の対象であったのですが、ここ東アジアの恵まれた環境下では現世は肯定の対象なのでしょう。
故にこそ、「輪廻」の意味が間違って理解されるという減少が生じるものと思われます。
ただ、このゲームをやってこの箇所に違和感を感じる人はかなり多いのではないでしょうか。
それとも私だけなのでしょうか。
まあ、至極些細でゲーム上はどうでもいいし、自分も気にはならないのですが。

7/17
「まぼろし月夜」が大変に面白いです。
このゲームはテキストを読み、選択肢によって物語が分岐して行くというもの。
8人の女性がいるらしく、彼女らとの交流を図るのが目的のようです。
お話もなかなか良いのですが、なんといっても面白いのはゲームシステムの解析です。
この解析がクリアには必要と思われること、そしてプレーヤーにかかる行為を容易とすべく、ソフトの側のヘルプが充実していることです。
具体的には、「あやめさん」の消滅時効の残り約2ヶ月間、移動可能な7箇所とそれぞれの地点の所在人物がカレンダーに自動的に記録されて行きます。
yu−noの分岐地図のようなものでしょうか。
やることといえば毎日の移動(一箇所のみ)とその先でのイベントのみなのですが、そこでのイベントにも特定期日限定のもの、同一キャラとの累積対面回数により変化するものなど存在する模様です。
そして何らかの条件を満たすこと(おそらく一定程度以上の対面回数)によってクリアの必須イベントが発生したりする模様。
3,4回プレイを重ねることで判明してきました。
最初の数プレイはバッドエンディングのくりかえしですが、その間にカレンダーを埋め、上述のようなシステム解析を行い、選択肢は様々なものを選んで全テキストを読むべく努めます。
このゲームのためにノートを一冊作りました。
一日1ページを当て、事件、選択肢を記します。
選択肢(二択がほとんど)もチェックをも受けて次のプレイでは異なるものを選ンで行きます。
ウィズの地図を書いているような気分ですね。
そしてある程度行動が限定されているのも有り難いです。
一日に五箇所も移動できるかと考えると、嫌になってきますよね。
問題があるとすれば、ゲーム展開の遅さでしょうか。
既読の選択肢はキャンセルできるのですが、それでも遅い。
正直なところネットをやりながら足の指でキャンセルボタンを押して至ります。
いっそのこと次の選択肢までのテキストを全てボタン一回でキャンセルできるようになっていると有り難かったのですが。
さすがに相当のくり返しプレイを要求するゲームなので、ここはちょっと残念でした。
ええ、新聞読みながらやるゲームです。
それとこのソフトは公式サイトが大変に充実しているようです。
簡単な攻略方法(プレーヤーのシステム解析を助けるに必要最低限)に、クリアしたキャラクターのパスワードによって閲覧可能となる当該キャラクターの設定資料。
いわゆる「恋愛シミュレーション」なわけですから、感情移入はたいせつですよね。
その良き助けとなってくれます。
面白いです。
ストーリー自体も、なかなか悪くないです。
なかなかほろりとさせてくれるのですが、よく考えると主人公の「あやめさん」(声、成瀬川)は「めぞん一刻」の「こずえちゃん」のようなもの。
けなげでかわいいのですが、人格が存在しません。
それはそれと割り切れば面白いかと。
それなりにテキスト量もあってよいかと思います。
前述の「成仏」のようにあまりに馬鹿らしくて聞くに絶えないという箇所はないです。
いいソフトですよ、
現在のところ美雪、葉月シナリオをなんとか終了。
(プレイ回数六回目)
ところで、最近のアニメゲームにはひたすらに「あなたに尽くします」型のキャラクターが多く見られるのはいかがなものでしょうか。
その「藍より青し」の「葵」とか、「サクラ大戦」の「花火」とか、「まぼろし月夜」の「あやめ」とか。
全員が日本人で和服って不思議ですなあ。
「メイド」の流行もこの流れなのではないかと推測します。
私は「音無響子」さんがすきですよ、ずるくって、嫉妬して、意地悪で、でもかわいくて。
現実の女性ってそうじゃないですか。

7/22
「まぼろし月夜」。
この手の恋愛ゲームって、どうしてプレイしていると心が痛々しくなってくるのでしょう。
物語の基本構造が見えてきたのですが、どのキャラクターにも共通して以下の流れが見いだされます。
「女の子と仲良くなる」〜「ふとした弾みで彼女を傷つける」〜「雨降って地固まる」
この「女性を傷つける」という場面が私辛くてたまりません。
ボタンを押すだけなのに、チャンネル変えてテレビ見たり、コーヒー飲んだりして気分を落ち着けないと先に進めないのです。
記号と割り切ることができないのです。
一回やると心が疲れてしまいます。
プレーヤーそのものに精神攻撃を加えているようで。
もうちょっと明るい話にしてくれないものでしょうか。
例えば「ふたりエッチ」みたいにラブラブなだけとか。
もしくはギリシア悲劇(オイディプス王)のように整然と論理必然的に悲劇が完成するとか。
このゲーム、システムは秀逸なのですが、物語はいかがなのでしょ。
たぶん最上の部類ではないのだろうなあと。

7/24
「まぼろし月夜」なんとか全キャラクターのクリアができました。
ヒロイン役のあやめさんだけは、そのキャラクターに規定回数面会すればクリアというものではなかったのでなかなか悩まされました。
(逆に言うと、他のキャラクターはその行動パターンを調べ、顔を合わせて行けばクリアが可能です。)
いかにしてあやめ編に分岐することが可能なのか、3回の試行錯誤が必要でした。
(逆に言えば経ったの3回です。)
既読台詞のスキップか可能とはいえ、1プレイは3時間程度でしょうか。
なかなか辛い事もありました。
このゲームのスキップボタンは、Rトリガーです。
だから、輪ゴムをまいてRトリガーを固定、選択肢部分のみコントローラーに触れ、そうでない場合は洗濯、食事、アイロン、ニュースなどをやっていればよいのです。
こうして各キャラクターのエンディング及びベストエンドの完了です。
あやめさんへの分岐条件は決して難しいものではありませんでしたが、ゲーム中に一切ヒントはなし。
正直なところ「他のキャラクターの達成度100%」が条件なのでは、などかなり不安を覚えたことは事実です。
本作の場合はたまたま適正な難度であったのでよいですが、テキストを読んでいくだけでワンプレイの長いゲームというのは少々疑問を感じます。
いえ、テキスト自体はいくら長くても構わないのですが、2回目からはそれらを全てキャンセルして選択肢の箇所のみ入力という方式であって欲しいということです。
この手の「恋愛もの」ゲームにはたいてい「達成度」という指標があるようですが、ちょっと疑問も覚えます。
正解でない方の選択肢も聞く必要があったりするので、わざと違う方を選ばないといけなかったりです。
特に痛々しいのは、女性を著しく傷つけると思われる選択肢が画面に存在する場合ですね。
まあでも、いいゲームでしたよ。
グランディア2と比べると、10倍は有に楽しめたのではないでしょうか。
妥当な程度の頭を使わされ、メモの作業が必要となるという点では、立派にアドベンチャーゲームになっていたと思います。


戻ります。 inserted by FC2 system