本論の目的は、上記タイトルの情報の提供にあります。
ウェブ上に本件ソフトの情報がほとんど存在しなかったことが、執筆の動機です。
目次
本件ソフトは超常現象データーベースと評価するのが妥当でしょう。
ゲームを進めることでプレーヤーが得られる情報量は相当な量にのぼり、文庫本一冊程度はあると評価してよいかと思われます。
その内容の検討を少々。
本件データーは、ESP・心霊・ヒーリングなど、いわゆる超常現象を扱ったものです。
したがって、現状の科学常識に照らして説明の困難なものがほとんどです。
眉唾物として、一切信用されない方もいらっしゃるでしょう。
かくいう筆者も、それらの実在に関しては極めて懐疑的です。
しかしながら、そうであるからといって無価値と判断するのはいささか性急であるかと思われます。
例えば、魔術という事例を挙げてみましょう。
「魔術」とは、特定の儀式や呪文を駆使することにより、病気の治癒や人物の殺害などの効果を得るものです。
原因行為とその結果との間に、合理的な因果関係が存在しないことがその特徴です。
勿論、筆者はこのような現象が実在するとは信じておりません。
ただ、我々にとっての本質は魔術の真偽には存在しません。
魔術の思考体型を考えてみてください。
合理的な因果関係の存在しない事象を結合させる。
A=BとA’=B’この二者を結合させることができたらどうなるか。
具体例をあげてみましょう。
ある時代のあるところでは、旱魃に悩まされておりました。
そこで困った人々は、天に向かって唾を吐きかけます。
これを目撃した天は、真似をして、もしくは腹を立てて、同じように唾を吐き返します。
すなわち、雨が得られるわけです。
このような因果関係の操作という思考原理こそ、魔術の根底に存在するものではないでしょうか。
そしてその解釈は、神話学などと決して大きく隔たるものではないはずです。
いわゆる超常現象とされるもの、その原理を考えてゆくことは、我々の認識を大きく豊かにしてくれるものであるはずです。
本ソフトを進めるならば、このように多くの事柄を学ぶことができるでしょう。
日頃胡散臭いと敬遠しがちな中にも、実に実りの多い分野を発見できるのではないでしょうか。
ゲームとしては、霊との対話がかなり面白いです。
すなわち除霊を行なうわけですが、その方法論がまた「つのだじろう」先生のマンガや「稲川淳二」氏の怪談のようなもの。
必ず「うしろの百太郎」や「恐怖新聞」を思い出されるでしょう。
(知らない方は、この機会にぜひともお読みになってください)
そしてその会話たるや、「女神転生」シリーズの悪魔との対話のようです。
特にあの、「狂人」「バロウズ」とかいう属性の悪魔ですな。
反応のバリエーション、相手の不条理さともに、女神転生を大きく上回るスケールです。
(ウェブ上で調べたところ、実際に女神転生の関係者がかかわっていらっしゃるようです)
このソフトの欠点としては、以下の点があげられます。
プレイステーションと家庭用テレビという環境ゆえに解像度が著しく低いものとなります。
したがって本ソフトは文字情報が中心であるのに、データーベースが読みづらいものとなっております。
特殊なフォントを使用していることがそれに拍車をかけている、と評価してよいでしょう。
漢字がつぶれて読みづらい場合が多いです。
この点に関しては、プレーヤーの側で画面の明るさ、コントラストを調節して対処するしかありません。
本ソフトは内容は素晴らしいのに、いささか残念過ぎる欠点です。
本ソフトを製作された池田貴族氏のウェブサイトがこちらに存在します。
このソフトのデーターベースに収録されていない事項や、多くの体験談に心霊写真を閲覧することが可能です。
本ソフトを所持していない方でも、多いに楽しむことが可能でしょう。
池田氏は本ソフトの発売を待たずして病没されたとのことで、心からご冥福をお祈りいたします。
以上です。