ギガウイング2を好きになれませんでした


ギガウイング2
2001年、匠開発、カプコン販売、アーケード、ドリームキャスト


以下の論述は、ソフトの内容説明、素晴らしい点、自分が評価できない理由、という順序で行います。


ソフトの説明
この作品について考えるためには、そのシステムを理解することが必要不可欠です。
ショット+ボンバーという標準的操作体系を持つ、横画面縦スクロールシューティングゲームです。
全6面の一周のみ、1から4面は長い道中とボス、5面以降はボス戦のみというステージ構成。
この作品の特徴として、ショットボタン押しっぱなしにより完全無敵のバリア(以下リフレクトと称す)が展開可能という点が上げられます。
このリフレクトは連続使用はできませんが使用回数に制限はありません。
かつ、敵弾の防御かつその反射による敵への攻撃、という攻防両面の性格を持ちます。
横画面縦スクロールのシューティングゲームは、ステージの横幅が広いので左右に大きく移動する必要があり、かつ縦方向が短いために至近距離から敵弾を打たれるという欠点を持ちます。
本作においてはリフレクトという機構の存在により、前述の欠点は克服されていると断言できます。



このギガウイング2は素晴らしい作品です。
以下にその理由を列挙してみます。



自分がギガウイング2を好きになれなかった理由

自分はギガ2を好きになれませんでした。
決してこの作品をけなすわけではありません。
あれは素晴らしい作品です。
ただ、その高すぎる理想に自分のような下手な人間は手がでなかったというだけのことです。
例えばですが、自分はドストエフスキーをほぼ全て読みみました。
でも、頭が悪いから何も理解できなかったのですね。
いってみればこれと同じ事です。

結論を述べてしまうと、ギガ2は極端な稼ぎシューティングになりすぎたのです。

ここでの議論の前提として、ギガ2の得点の仕組みについて共通理解が必要となります。
ご存じない方は、
こちらを先にお読みになってください。
ボルカノンの発生の方法が全く見えない、これにつきます。
この作品では、確定的にボルカノンが発生する場面、なんとかボルカノンを起こせる場面の2つの場合があります。
前者は問題ないのですが、後者が重要なのです。
厳しいところになると、敵弾はボルカノン発生に必要最低限のみしか存在しません。
しかもこれだけの敵弾でさえ、巧妙に敵弾を誘導していって初めて可能になるのです。
死なないためのパターンの作成ならば、どうすれば最も安全かという規則に基づいているので単純で解りやすいです。
要するに、自機の周囲の弾を減らせばいいだけです。
ところがこの誘導なのですが、何らの合理性が見いだせません。
それは、自機狙いでないばらまき弾が絡んでくるからです。
自機をどこに置くとどう弾を撃たれるのか、これが解らないのです。
さらにはリフレクトの広い半径があるので時期の直近に弾が集中している必要すらありません。
一見したところ曖昧なのに、弾数は必要最低限なので極めて厳密な操作を要求します。
何らの法則性もない試行錯誤によってのみ見いだされるパターン、自分のレベルではこのようにしか見えません。

敵弾を発生させるだけでも難しいのに、この敵弾を如何に反射するかというさらに難しい要件があります。
この反射はリフレクトによって行うわけですが、このリフレクト時間は1秒程度、しかもその1秒の中でリフレクトの有効半径は最大3倍程度に変動します。
厳密な弾の誘導を行い、自機の位置を毎回固定し、1秒以下の厳密なタイミングでリフレクトを発動し、その半径の変化に合わせて自機を移動し、敵弾を吸収、反射。
これだけのことがボルカノンを発生させるために要求されるわけです。

自分も偶然ボルカノンを発生させたことは何度かあります。
でも、全く再現不可能でした。
プレイしながらの記憶だけで、そこまで厳密に再現する事は不可能です。
これを再現するためには、ビデオに録画しながらのプレイが必要になるでしょう。
そこまで厳密な遊び方を自分はしたくありません。
でも、それを要求するゲームなのです。


では稼がなければよいのではないか、そうお考えになるでしょう。

ところがこの作品、稼がないとちっとも面白くないのです。

敵の弾を見て避けるというアドリブ要素が、このゲームにはほとんどありません。
6面の数カ所しかない、こう言い切っても問題ありません。
リフレクトというシステムがあるおかげで敵の攻撃は激しく、間違えたらボム(もしくは死亡)しかないという攻撃が多いのです。
余裕か即死かしかなく、程良い緊張感が維持されるということがありません。

また、稼がない場合においてはゲームが簡単になりすぎます。
ラスボスにボムを使用しないとしても、難度的にはストライカーズ1999で5ボスのテクニカルボーナスを取る程度であると思います。
かといって稼ごうとすると、1面から余裕で死ねる難度に早変わりです。
その中間というものがないのですね。
少々簡単すぎ、かなりの高難度という両極端しかなく、その中間というものがないのです。

シューターではないけれども、全くの初心者でもない。
その程度のレベルである自分は切り捨てられてしまったと感じました。
(難度については、
こちらを参照ください)

この点ケイブのエスプレイドや怒首領蜂、あれは見事であると思います。
これらは本質的に稼ぎシューティングなのでしょうが、自分はそのような行為を一切行ったことがありません。
複雑な稼ぎシステムなど存在するようですが、自分は一周さえできない下手くそなので、ひたすら避け続けるだけです。
でも、とっても面白いのですね。
稼ぎゲームではあっても、稼がなくても面白い。
これが一番いいのではないでしょうか。


また稼ぎの方法についても、自分は疑問を感じます。

パターンを知っているかどうか、この要因が大きすぎるからです。
本質的に得点というものは、うまい人と下手な人の差別化のためにある要素であると自分は思います。
だから純粋に技術のみによって得点が左右されるのが好ましく、知識という要因が過度に介入するのはあまり良くないことでしょう。
しかも倍率という仕組みによって、その格差が必要以上に拡大されてしまいます。
自分が稼ぎの仕組みとして、最も優れていると感じたのはドラゴンブレイズです。
一箇所にとどまって、落ちてくるコインを回収する、というものです。
コインは多量に発生するので、如何に長くとどまっていられるかということが得点を左右します。
ここに不確定要素はなく、ただ一箇所にとどまっているだけです。
そして一箇所にとどまっているということは、新たに登場する敵への対処がおくれて危険が増大するということを意味しています。
確実に得点は上昇し、それとともに確実に被弾の危険が増します。
不確定要素がなく、純粋なリスクとリターンの交換があります。
単純かつ公正でいいですよね。

自分はドラブレは150円しか遊んだことがありません。
だから上の記述は間違っている可能性があります。
しかし、自分の理想的な稼ぎの形態ということでご理解ください。


以上が自分の思うことでした。
何度も繰り返しますが、自分はこの作品をけなすつもりは全くありません。
素晴らしい作品であると思います。
ただ、自分と同じような感情を抱かれた方は決して少数ではないと思います。
シューティングゲームとは、そんなに複雑なものだったでしょうか?


以上でした。

戻ります。


以下は本文中の脚注です。


美しいグラフィック

ナオミ基板(ドリキャス互換基板)は640*480ドット、従来のゲームは320*240です。
ドット数単純計算で4倍ですね。
さらにドリームキャストならばパソコンのモニターに出力する事ができます。
画面の美しさは一般のテレビを使用した場合から格段に向上し、2度と離れられなくなるほどです。

ただ、この美しいグラフィックには長所短所の両面があります。
自分のギガ2初プレイ時の感想ですが、美しすぎるが故に背景と地上物の区別がつきませんでした。
小一時間もプレイすれば覚えてしまえますが、アーケードゲームとしてはこの解りにくさは欠点となりうるでしょう。

美しいことは確かにいいことです。
この美麗な画面に惹かれてシューティングに興味を持ってくれる人が一人でもいれば、それは素晴らしいことです。
しかしここまで美しくある必要はあるのでしょうか。
この画質を保つために必要なコストを考えると、疑問を感じざるを得ません。
前作のギガウイング、あの画質で十分なのではないでしょうか。
荒い画面でしたが、あの原色ぎらぎらの画面での4。5・6面は不思議と神秘的かつ幻想的でありました。
こちらの方が想像の翼がかき立てられたのですよね。

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家庭で練習、アーケードで本番という遊び方が可能であること

自分は最近、彩京のストライカーズ1999というゲームに入れ込んでおります。
シューティングのことを全く解っていなかった時期から、2周目を目指す今に至るまで漫然とコインを投入し続けています。
一回50円であるとしても、おそらくプレステ2が購入できる程度のお金は使っていると思います。
(まあ、プレステ2よりもシューティングの腕の方が3京倍くらい価値があるからいいんですけどね。)

ところがこのギガウイング2
今ならドリキャス+スティック+ギガ2(1万+6000+5000)で2万円あまり、このソフトのみでも余裕でもとが取れます。

このACとCSの連携ですが、その高い理想とは裏腹に多数の問題を孕んでおりました。
アーケード版の筐体ですが、出回りがあまり良くありませんでした。
大都市部はともかく、地方ではかなり少ないようです。
ACとCSが同時発売、かつ完全移植、ゲームセンターでプレイする理由がないのですね。
となるとゲームセンターの側もインカムが見込めないわけですから、導入はためらって当然でしょう。
シューティングは文化である(確信)と同時に商売です。
あまりにこれは、むごい仕打ちではなかったのかと。
自分も正直に告白すると、アーケードでは1000円程度しか使っていないと思います。
ドリキャス版を発売日に購入してしまったこともあり、アーケードでは10回もプレイしないうちにクリアしてしまいました。
さらにはこのギガ2、(理由は別に述べていますが)絶望的に人を選ぶゲームでした。
ギガ2のために自分が通っていたのは、故新声社(ゲーメスト)近くのミッキーという集計店でした。
発売1,2週間は大変な人気で何人かの方を待たないとプレイできませんでした。
ところが日に日に人は減っていき、一月もするとすかすか、ハイスコアは1京点に達していません。
おそらく商業的にはうまくいかなかったのでしょう。

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ギガウイング2の得点の仕組みの説明

この作品において、敵の破壊などの得点は次の式によって決定されます。
獲得得点=基礎得点*倍率
このうち基礎得点は定数ですから、高得点をあげるためには倍率(これは変数なのです)を高めることが必要となります。

倍率は、倍率アイテム(以下勲章)を取ることで上昇していきます。
そして勲章は主として、リフレクトで反射した敵弾を敵にぶつけることで発生します。

この倍率の上昇は次の仕組みによって決定されます。
(数式を書けると解りやすいのですが、エディタの使い方がよく分からないのでご容赦ください。)
現在N個目の勲章を獲得した場合
N個目での累積倍率=N−1個目での累積倍率+N個目の勲章の倍率
N個目の勲章の倍率=N−1個目の勲章の倍率+K
(Kは勲章の加算倍率、2から3程度が主)

例えば、3個目の勲章を取ったとします。
1個目の勲章の倍率は1
2個目は1+1=2
3個目は2+1=3
累積倍率は1+2+3=6
これが10個目の場合
累積倍率は1+2+3+4+5+6+7+8+9+10=55となります。
これが100個目だと100(1+100)/2=5050、とかなりのものになります。

つまり倍率はどんどんと累積して行くわけですから、可能な限り多くの勲章を取っていくことが高得点に必要なわけです。
勲章を多数取得するためには多数の勲章を発生させることが必要です。
今作では勲章を多数出現させる制度として、アイテムボルカノンというシステムが設けられました。
このアイテムボルカノンとは、画面内に勲章を110個以上同時に存在させる事を条件に個々の勲章が10個程度の勲章に分裂するというものです。
このボルカノンによって多数の勲章を獲得していく、これが今作の稼ぎかたです。
従って巧妙なボルカノン誘発パターンを作っていく、これがこの作品のスタイルとなります。

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難度について

ギガウイング2は、初心者であっても十分にクリアが可能という意味では大変に優れています。
先に書いたことは、単に自分が楽しめなかったということにすぎません。
攻略ドキュメントにも書きましたが、ボンバーを適切に使用していくならば弾避けがほとんどなしでクリアできます。
1周目から難しいものの多いシューティングの中で、これは貴重なものです。

ただこのギガウイング2ですが、問題がないわけでもありません。
高速弾が多い、かつ弾数がかなり多いのです。
この2点により、クリアのために必要なのは誘導、弾避けの練習ではなくリフレクトの使用のパターン化ということになってしまいます。
安全な箇所と、リフレクトを使用しないと死亡確定、という箇所の落差が激しすぎるのです。
だからこれがシューティングの練習になるのだろうか、というと疑問の余地があります。
前作のギガウイングや、ストライカーズ1945IIの方が難度自体は高いですが、シューティングそのものの練習になるという意味においてはより初心者に優しいのではないでしょうか。

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