政治、価値相対主義

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事情あって弁護士と話すことがありました。
「民主主義」に関して向こうは「価値相対主義」と話します。
自分はこれに大変な疑念を抱きました。
法哲学上の正義論に起因する疑問です。
論証は長くなってしまうので省きます。
結論を述べると「価値相対主義」はあらゆる価値の優劣を認めないことから終局的に自己の絶対化につながる思想です。
「価値相対主義者は挫折した絶対主義者」といわれる所以はここにあります。
自己批判の欠如と傲慢が価値相対主義の重大な欠点であり、何らかの普遍を想定することがこれを回避するために必要ではないか。
このごく当たり前の点を指摘しました。
ところが相手方の弁護士は合点がいかない様子でした。
終局的な解答は「民主主義は価値相対主義であることは、通説です。」ということでした。
自分はこの解答に対して次の2つの感想をいだきました。
弁護士という知的職にありながら、硬直的な思考構造を抱いていること。
同じく、ごく初歩の法哲学知識さえ有していないこと。
もちろん、ある程度思考法が確立しているのは重要なことです。
誰が扱っても導かれる解答は同じであるという性格、これが法的安定のためには重要です。
しかしながら、常に頭は自己批判と新しい論理後生、知識の吸収に向かうべきではないでしょうか。
法哲学を知らないことですが、自分でさえ知っているのにどうして弁護士はしらないのかという呆れが混じっていることは事実です。
これに関しても同様に、誰が扱っても解答が同じであることは法的安定性のために重要です。
そこにおいて多くの知識は要求されるべきではありません。
でも、自分が挙げたのは法哲学の初歩の初歩です。
何か一冊読めば必ず一番最初の方に書いてある問題でしょう。
数時間あれば誰でも理解できることです、しかも弁護士なら自分の扱う法の同系統の分野の知識ぐらい持っていてソンはないでしょう。
人間年をとると思考が硬直的になるものだと思いました。


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