自然科学、乳母

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結局のところ、第3号までディアゴスティーニのヴィジュアル源氏物語を購入してしまいました。
全部購入と考えていたのですが、第2巻には「本特集は全97冊を予定しております。」との文字が。
一気に気がそがれてしまいました。
せいぜい20冊程度だと思っていたので。
でもこの本、結構おもしろいのです。
正直なところ、漫画には全く興味がありません。
あらすじは知っているし、絵も「あさきゆめみし」に比べると少々格が落ちるかと。
しかし「あさきゆめみし」は女性が髪型以外では判別不可能でしたが。
唯一わかったのは、末摘花と、ちょっと太めの六条院に住むこととなった人(名前忘れました)だけでした。
話題を戻します。
漫画の分だけ価格は上昇しているでしょうし、何よりも紙面が無駄に割かれてしまっています。
もっとも、この本の趣旨は源氏を知らない人への普及にあるのかもしれないので、しょうがないでしょう。
でもこの本、当時の習俗の解説は大変に充実しているのです。
少々、面白いと思ったことを書き記そうかと。
乳母という制度にはかなり切実な存在理由があったようです。
女性は多産を望まれていましたが、授乳によって分泌されるプロクラチンというホルモンは性ホルモンの働きを抑制し、次の妊娠を防止する機能があるそうです。
であるからこそ、授乳を人工的に停止することによって、多産をはかったのですね。
合理的といえばそうなのですが、このプロクラチンは、連続的妊娠を抑制することが結果として淘汰上有利であったからこそ進化上発生したものでしょう。
母体保護及び子の十分な育成のためです。
栄養失調に運動不足が重なって貧弱だった当時の女性、それが妊娠に明け暮れていてはすぐに死んでしまいます。
だからこそ、源氏物語の女性達も加持祈祷に弓づるならしてゴマを焚いたあげくに、母子共に死んでばかりなんですよね。
その他少々。
当時の女性は髪の汚れを落とすために、洗髪ではなく櫛に頼っていたそうです。
入浴は基本的に5日に一度だったそうですが、物忌みで入浴できないことが3ヶ月続くこともあったそうで。
あの時代に香の文化が発達したのも、不潔だからだったのですね。
高貴なはずの貴族に限っておまるで用を足して部屋の中に置きっぱなし。
その点庶民が川で用を足していたことを考えると。
どうでもいいのですが、この本原文が少々載っております。
高校の時よりもよほどよく読めるのは、一体どういうわけでしょう。


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