文化、現代美術

10/30
東京国立近代美術館に「連続と侵犯」なる現代美術展に行って参りました。
初見では意味が分からない、これが正直なところでした。
展示規模事態は小さく、全部で10人程度の作家のものがあるのみです。
それでも、何とか理解すべく努めてみました。
一番時間を費やしたのは、9枚の連続抽象画でした。
白・黒からなる人の顔のような球体と、赤。
全てはこれによって構成されています。
そもそもこれは何であるのか。
何らかのテーマがあるに違いないとの確信のもと、具体的検討に入りました。
各作品の共通要素を捜し、何らかの法則性を導き出します。
この段階で初めて、上に述べた3色のみからなることに気が付きました。
そして、各色の意味を探ることにします。
最も具体的なタイトルを与えられたもの(「虹」など)数作品には、虹、木などの具体的図形があります。
その具体的図形にしようされる色から、黒は人以外の森羅万象。
赤は太陽に使われることから何らかのエネルギー。
白は人間の象徴であると推定しました。
他のより抽象性の高い作品(「不可視なる2対」など)を検証しても、上記の推定に矛盾は生じませんでした。
そして本題の、作者のモチーフを探ることにします。
白と黒、それぞれが浸食しあって人間の表情を描いていることからも、人と森羅万象が相互に関連しあって世界を構成している事が伺えます。
そしてそこかしこに現れる赤。
「終わりなき赤」、「見えないりんご」という作品において赤は重要なものとして描かれています。
そこにありながら人が手を伸ばすと消滅するもの。
人が熱望しつつ、手に入れることができないもの。
全てに力を与える存在。
これが赤の意味のように思われました。
詰まるところ、私の達した結論は「この9枚の絵画は、世界の構成原理を示したものである」というものでした。
以上の過程、1時間程度の作業でしょうか。
ちなみにこの展覧会、作品解説のようなビラがついていました。
それによると、
「つがっているんだけど意味をもたなないつながりだとか、離れているんだけど確実に関係を持っている」
「そんな関係図のような表現の中で、作者は一歩ひいた地点から、世界の中で自分の立つ位置を確認するのだと語ります。」
ということでした。
当たらずといえど、遠からず、というところでしょうか。
なかなか頭を使う面白い作業でした。
たまにこういうことも、面白いものです。
これも美術鑑賞の一つのあり方かと。


戻ります
inserted by FC2 system