文化、あさきゆめみし

12/16
ちょっと時間を潰す必要があって、一年ぶりほどでマンガ喫茶なるものに行きました。
読んでいたのは、「あさきゆめみし」9・10巻、「恐怖新聞」1、2巻。
後者は「つのだじろう」氏であること、南国アイスホッケー部の元ネタであることが解ったことぐらい。
前者は久しぶりに読みましたが、ずいぶんとよい漫画ですね。
ちょうど女三宮との結婚後から、源氏がはかなくなるまでの部分です。
さまざまな自分の高位の罰を受ける源氏。
「六条の御息所」が女達の妄念の化身と言明されているあたりが、絶妙に説得力があります。
彼女はそこはかとなく、女達の苦しみの具現化という意味で、神話的な機能を帯びているように思われます。
苦しみ続ける紫の上の源氏への怨嗟の念も、実はミヤスンドコロのかなりの部分を占めているのではないかと思われました。
そして女三宮と柏木の密通と薫の誕生という一連の事件を介し、実は父の桐壺帝が自分と藤壺更衣の密通と冷泉帝の出生という事件の真相を知っていたのではないかと悩む源氏。
「父帝はそのことを知りながら、自分に何事もなかった化のように接していたのではないか」と考える源氏。
この件は、人間の罪の象徴的表現として、極めて見事なものだと思います。
私も思い当たる事ばかり。
源氏物語はなんと深い文学性を有していることでしょうか。


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