文化、阿刀田高

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同じく阿刀田高の「江戸禁断らいぶらり」から、「壇ノ浦夜合戦記」の転載。
時と場所は、壇ノ浦の合戦、安徳天皇を抱いて水に入った太后徳子は、源義経に助けられていたのだそうです。
(勿論妄想)
そして合戦の夜、義経と徳子の間にもう一つの戦いが始まったのでした。
(勿論妄想)
作者は漢学者の頼山陽。
(勿論妄想)
ちなみに以下の「廷尉」は義経のことです。
変換できない漢字が多く、同意の語に置き換えてある場合が多いのでご注意を。
それにしても、漢文古文の日本語変換はに関してはMS-IMEは著しく無力です。
日本語をなめてますかね、頭が悪すぎます。
こんなものが流布している事も、国語力低下の一因のはず。

太后曰く、「嗚呼、美快迫る。寧ろ此の美快に死するを得んか。君願わくば妾を事殺せよ。嗚呼、君の手に死さば本望足る。嗚呼、夫れ死す。」
廷尉曰く、「鹿の将に死なんとするや音拓ばず。太后将に死なんとする。其の言や美し。」
太后曰く、「嗚呼、美し。」
廷尉曰く、「心魂漸く遊蕩す。」
太后曰く、「妾が心魂、何処にか行かんとす。嗚呼、行かんとす。」
相共に曰く、「それ由加んとす。それ由加んとす。嗚呼、それ由加んとす。嗚呼、それ由加んとす。嗚呼、それ由けり、それ由けり。」

漢文書き下しの語調は極めて美しいものの、基本的に内容は馬鹿。
笑えます、特に最後に「相共に曰く」というあたりが素敵。
ちなみに阿刀田氏は、「エロスに古文はよく似合う」という著作においても、同じく「壇ノ浦夜合戦記」で1章を設けていました。
中身もほとんど同じ。
嗚呼、見事なり。


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