文化、展覧会

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「アレクサンドロス大王と東西文明の交流展」なるものに足を運びました。
いわゆるヘレニズムで、ギリシア起源の文明が東漸してゆく過程を、遺物を持って示した展示会です。
その趣旨自体は単純明快にして、迷うところは何もないですね。
ただ、私個人の感想としては、理解の困難な部位が多数ありました。
そもそもこのような博物館は、何らかの展示趣旨があり、それを証明するための論拠があります。
そしてその論拠を証明すべく、展示対象が選定されるわけで。
今回の展示の場合、目前の展示物がその章立ての中において、何を証明しようとしているのか、そして全体テーマの中でどのような位置を占めるのか、私には理解できないものが多かったです。
個人的には、このような展示会は、一つ一つの展示物にそれが何を主張するために展示されているのか、その展示物の何がその論拠足りうるのか、これを明示して欲しいところです。
自分で考えるのは、その特定の分野の相当深い知識がない限りは現実的ではないというべきでしょう。
こういうのって、展示品目録を買えばよいのかもしれませんが、1300円の展示会で2300円もする目録を買うというのは貧乏人の私にはつらい話です。
もちろん、そういう詳細な解説をつけると、混雑したり、展示品そのものが見られなくなったり、見る人に混乱をもたらしたり、というデメリットがあるというのは予想されます。
でもやはり、博物館って多様な楽しみ方があっていいはず。
子どもがギャーとか泣き叫んだり、小学生が「エロい」と仲間内で騒いでいたり、彼氏が彼女に誇らしげに間違った解説をしてみたり、メモを取りながら目前の対象の意味を考えてみたり。
(多分私も上記のすべてをやったことがある)
少なくとも安くはない観覧料を払っている以上、十分なサポートはあってもいいのでは?
人は展示分野を知りたいからこそ見に行くのであって、適切なインストラクションさえ得られれば自分の力で理解しようと努めることができる存在です。
展示会というと貴重な文物を見せることが目的ではありますが、本質はそのような具体的な遺物にではなく、その意味に存在すると思うのですが。


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