政治、小泉とペリクレス

9/22
小泉首相が新組閣をなさったそうで。
管氏や土井氏の、組閣の趣旨が政策ではなく選挙対策にある、との発言がありました。
おそらくそれは事実として妥当な評価でしょうし、野党としての立場にあれば至極妥当な発言と思います。
事実我々主権者たる国民は、政治は何らかの高次の理念を持つ人間によって担当されるべきであると考えるものです。
ただ、そこには無視されるべきではない重要な観点があります。
政治は、結果において評価されるべきであるという、至極当然な視点です。
諸利益の対立と権力追求。
高次の理念達成に必要ならば、目前のそれらの処理に手段は選ばれるべきではない、というのも当然の指摘でしょう。
指導力維持のために、党内パワーバランスを組閣に反映する必要があるならば、今回の人事も理由があるものと評価できます。
この点を雄弁に語るのが、古代アテネの歴史ではないかと私は思います。
アテネの前5世紀後半は、ペリクレス時代と呼ばれます。
ペリクレスとはその時期の指導者の名。
このペリクレスとは、徹底的な貴族主義者であり、エリートであり、優秀な頭脳の持ち主でした。
利益の分配と参政権の拡大という、「民主制」とされる手段を駆使して、将軍としてアテネの最高指導者の座を保ち続けたのです。
(彼は観劇に日当を出したのですが、今日流にいえばバラマキ以外の何者でもないですね)
そして自己の意思を、民会を誘導し、民衆自信の意思と偽装させて次々と成就させました。
彼の時代に無産市民が参政権を獲得し、民主制の頂点と後に呼ばれることになります。
この時期にアテネに来訪したローマ使節団は、アテネのことをペリクレスの独裁国家と評しています。
つまるところこの歴史が教えるのは、手段動機は何であれ、政治は結果で評価されるものだ、ということでしょう。
貴族主義者であれ民主制を実現することはできました。
イギリスの選挙制度改革の歴史を見れば、金権腐敗にまみれた議員たちが厳格な選挙制度を成立させた事実もあります。
小泉閣下、手段を選ばず、ご自身の理想を実現してください。
どうしてメディア(特に民放)はパワーバランスのことばかり報道するのだろう。
視聴者を馬鹿にしているように感じられます。
国民の選択肢は、地上波に関しては、NHKしかないですね。
テレビ東京の報道は質はいいと思いますが、絶望的に放送エリアが狭い。


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