文化、文明の十字路

10/13
本日のNHK特集、「文明の十字路」の感想。
さっきの話の再録ですいません。
今回の対象はイスラム世界の中心であったバクダッド。
一部カルトの原理主義といい、米軍の占領といい、時節にあったテーマは見事。
番組そのものの内容はといえば、些か疑問符が付きまとったような。
否応なしに世界が縮小しつつある現在、些か白い目で見られるイスラム世界。
「文明の道」なる高邁なテーマにそうならば、本特集の内容は次のようなものあるべきだったのでは?
・イスラム世界のそれ以前の世界との継続性。
・イスラムと、他世界との深い関係性。
・イスラムの極めて高度な普遍性。
・これらを明らかにした上で、現在におけるイスラムとの共存可能性の立証すること。
どうも本日の番組を見る限りでは、かつてのバクダッドの再現映像に、その文化水準の高さを紹介したのみ。
黒柳さんと坂東さんと真君のいない「世界ふしぎ発見」みたいでした。
他世界との関係を思わせたものは、中華からの製紙方伝来と、ヨーロッパへの医学伝達、ギリシアからのアリストテレス継承のみ。
せめてこれらの事実に、現代につながる何らかの意味を与えるべきであったのでは?
要するに本日の特集からは、「何を主張したいのか」という根本が伺えませんでした。
勿論、諸事情あることは理解できます。
まず、たかが60分でイスラムをまとめることなど絶対に不可能。
(ならば第一周のアレクサンドル編が終わった後、現第二部で1年がかりほどでイスラムをやればよかったのでは?)
そして、本日特集の内容は、高校で世界史を取った方以外には常識ではないとい思われること。
まず前提となる最低限の知識を提示した上で、あとは視聴者の側で学習に励んでくださいという趣旨なのかもしれません。
番組を作るって、難しいでしょうね。
「視聴者をどの層と想定するか?」およびそれに付随する「内容の詳しさは?」。
プロフェッショナルであらせられるNHKのディレクターのご判断ですから、私ごときに口を挟む資格はありません。


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