ビデオゲーム、定型

10/25
先ごろ、「妹もの」なる部類のノベルゲームやりました。
最大の驚きは、なんといっても「妹」というジャンルが存在することなのかもしれませんが、しかし・・・
いかなるものでも、一つの定型として分野を形成しうるという認識。
これが当然の前提となってしまった以上、もやはどんな新奇なものを持ってきても、そこに新鮮さはもうないかも。
偉大なのは、常に新しい概念が存在しうることを提示した先駆者のみかも・・・・。
話題を戻すと。
妹もの、のいくつかの法則性が存在することが推測されました。
1、兄と妹は、血縁関係にない。
2、親は別居もしくは存在しない。
3、妹は昔から兄が好きだったが、兄は鈍感なのでそのことに気がつかない。
4、特定の停止条件の成就により、兄は妹を女として認識する。
5、兄はそれでも、妹であるが故に、彼女を遠ざける。
6、傷つく妹、そして妹のかけがえのなさを認め、彼女を恋人にすることを決意する兄。
7、結ばれる。
以上、この定式に「名前」「場所」「イベント」の3要素を適当に挿入すれば、完成しますね。
(この式、「妹」を「おさななじみ」に変えるとそのまま「おさななじみもの」の定型になるのでは?)
上述の定式のポイントは、1番と7番にあるようです。
まあ、エロゲーにできるというわけで。
その、最も重要視されるべき問題意識は、ここにあるのではないでしょうか。
何ゆえに近親間の恋愛関係(当然に性行為を伴う)は、許容されないのか?
私が「妹もの」のシナリヲを担当するとするとして、少々。
妹、「にいや。」
兄、「おおっ、マイハニー。」
妹、「あにぃ、契りましょう。」
兄、「駄目だ、我々は血縁ではないか。」
妹、「兄くん、何故血縁の場合の性交渉は許容されないの?」
兄、「ソフ倫、いや社会が許さないからな。」
妹、「お兄ちゃん。刑法犯ではなく、そして民法上の婚姻の制度が利用できないだけですわ。そもそも社会的通念など誤謬の集合よ。」
兄、「ではまず、生物学的、そして社会学的な歴史を振り返ろうではないか。」
妹、「兄ちゃま、そもそも、マリノフスキーの明らかにした・・・・・・・」
其処には、真摯な討議にを交わす兄妹(恋人とルビでもふる?)の姿があった。
そして、そのそばをてけてけ歩く犬福の群れが。
犬福、「にょ。」
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いえ、勿論、「妹もの」がそういう思惟を目的としたものでないことは解ってるんです。
「妹萌えーーー」という、何処にもいない妹を求める、そういう心情を歌い上げることが目的なんでしょう。
ただ、もう一ひねりあってもいいのではなかなあと。
萌え尽きそうな状況を描き出す筆力も大切ですが、その前提に自然科学と古典教養が必要なのではないかな。
私がプレイしたのは、Silence〜涙をふいての全年齢版なるものです。
いえ、製作者の方に不満を申し上げる気はないですし、純粋に敬意を表します。
一人でこれほどのものを作り上げるとは、まさに驚嘆の技。
シナリオ・プログラミングは犬福でも勉強しだいでできるでしょうが、作曲なんて絶対無理です。
調べを紡ぎあげる才能、それは讃えられるべし。


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