文化、政治討論

12/21
明日月曜から、11夜連続で、「映像の世紀」の再放送だそうです。
客観的に考えて、「シルクロード」よりも意味の大きな番組。
私は西域は大いに興味を持ちますが、所詮は娯楽。
映像の世紀は、情報を媒介とすることで、我々に歴史の意味そのものを考えることを求めます。
ちなみに、有名だったのですが、このネタ分かります?
映像の世紀と関係ないですが。
昨日は、NHKの日本の安全保障に関する討論が、非常に有益でした。
出演者が、「後藤田正晴、中曽根康弘、大江健三郎」
まず、キャスティングが見事。
中曽根康弘が徹底的な現実重視、大江健三郎が理想主義、そして後藤田先生が深い見識と理念にもとずいたまとめ役。
民放の討論のように、知性見識に疑問のある出演者がいないのも素晴らしい。
中曽根氏の、ネオコンからパウエルへの権力移行の分析も説得力があり、政治を実際に運営した人間の重みがあります。
彼は、現実の運営と解離した憲法解釈は限界であり、改憲すべきとの立場。
大江健三郎氏は、理想主義でありながらも、「憲法」そのもの意味と役割から論を進めるので、聞いていて不快感を覚えることがありません。
そういえば、ノーベル犬福賞かとってましたっけ?
彼は、憲法制定権力から論を進め、制限規範としての役割を重視して改憲の動きそのものを留めることが憲法の役割と主張。
やはり、最高権威が後藤田正晴先生。
先生は、憲法の平和主義の理念を、憲法前文からケロッグブリアン条約にさかのぼって明らかにします。
そのよってたつ理念を明らかにした上で、現実に即した改憲の案および時期を提示しました。
(憲法が成分法典である以上、現状の拡張解釈の危険性を考慮して、時代に即した文言の改正は必要とのお立場です)
まさに、知性の輝きそのもの。
私個人も改憲論者ですが、その根拠は「憲法典」の文面から著しく解離した解釈が諸外国の不信を招くという点でした。
後藤田先生の指摘を受けて初めて気がついたのは、自身に改憲の積極的理由が見出せていないという点です。
「外国の評判を落とすから」という消極的改憲理由しかもたないわけでした。
より積極的に、日本の方向性を明らかにすることこそが、改憲のもっとも重要な前提なんですね。
えっと、この番組を見て唯一不満を感じたことです。
画面下に、9条1、2項の全文を表示するなどできなかったのでしょうか。
どうもあの討論は、(少なくとも)9条1項、2項の条文を暗記していないと理解が困難な部分が多かったと思うのですが。
(それ以前に9条の通説的解釈と政府解釈を解説する程度の情報も必要だと思ったのですが・・)
テレビの討論番組の最大の役割は、討論ではなく視聴者の啓蒙にあると思うところ。
私のような犬福でも理解できるように、心遣いがあってもよかったのでは。
無知は恥じる必要はないし、人間知識と方法論を理解すれば独力でいくらでも考えられるもの。


戻ります
inserted by FC2 system