宗教、ヤペテとオナン

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言語学上の固有名詞に、セム族・ハム族というのが在ります。
前者はアラブ人とかユダヤ人とか、後者はエジプト人とベルベル人でしたっけ?
このセム・ハムというのは、あの旧約聖書の「箱舟」のノアの息子の名前からとられています。
人類史上初めてぶどう酒を作ったといわれているのは、箱舟のノアさんです。
そこでそのノアさんがぶどう酒を飲んで酔っ払って天幕の中で素っ裸で寝てました。
それを見たハム君は、「とおちゃんいい体しとんのぉ。」とい思ってレイープしてしまいました。
という逸話が旧約聖書に書いてあります。
(旧約的表現では、性行為のことを「裸形をあらわにする」と婉曲表現)
こういう恥ずかしい人(差別的表現ですな)を、特定語族の名称として採用するのは些か思慮に欠けると思わざるを得ないところ。
以上の話は阿刀田高氏の「旧約聖書を知っていますか」などにも書いてあるので、相当広く知られた事情でしょう。
今回の眼目はその続きにあります。
なんとセムハムと命名した人は、今日の印欧語族を「ヤペテ族」と命名していたそうで。
ヤペテ君は、ノアさんの三男です。
なぜにセムハムだけが残って、ヤペテ語族は名称として廃れてしまったのでしょう。
もしもオナン族なんかがいたら愉快だなと思うところ。
オナン君はヘブライ12族の中のユダ族の祖のユダの次男。
当時の法規では、長男が子なくして死んだ場合には、弟が兄の嫁と交わり長男の家系を存続させるという規定がありました。
ユダ君はお兄さんが氏んだのでその奥さんとお勤めでした。
でも生まれた子どもが自分の子にならないことを知っていたので、「種を床に流し、亡兄の名の継がれることの可能性を未然に防いだ」のです。
今となっては不可解な行動ですが、古代人の思考様式を反映した神話なので理屈が通らなくて当然。
こうしてオナン君は、見事「オナニー」に自らの名を残したのでした。
人類史上もっとも有名な男です。
これも超有名な話ですね。
この後偉大なるオナン君は、神の怒りに触れて殺されてしまいます。
オナンは死して、オナニーを残す。
まさに人は死して名を残すですね。
(神話的にはオナニーは膣外射精という意味になる)
ともかく、日本人がオナン族でなくてよかった。


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