宗教、聖書

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改めて読み進めると、「聖書」というのは実に奇妙奇天烈で不可思議な書物だという印象を受けます。
以下少々、「はぁ?」というか、笑えるという箇所を少々。
出展は新約聖書「使徒行録」の5章。
(使徒行録とは、弟子たちの宣教の様を記した文書ですにょ。)
些か長いですが、是非最後まで読み通しください。
顔がにやけてきます。
事前説明として、発足当時の信者の集まりは原始共産制を取っていたそうです。
(その真偽は不明)
それぞれが私財を全て売却して金を持ち寄り、集団の共同管理下においていたらしい。
「ペトロ」氏はイエスの一番弟子で初代ローマ教皇ということになっている方です。
アナニア・サフィラというのは信者になろうとしている一般人。
以下は日本聖書協会のサイトから転載。
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ところが、アナニアという男は、妻のサフィラと相談して土地を売り、
妻も承知のうえで、代金をごまかし、その一部を持って来て使徒たちの足もとに置いた。
すると、ペトロは言った。
「アナニア、なぜ、あなたはサタンに心を奪われ、聖霊を欺いて、土地の代金をごまかしたのか。
売らないでおけば、あなたのものだったし、また、売っても、その代金は自分の思いどおりになったのではないか。
どうして、こんなことをする気になったのか。
あなたは人間を欺いたのではなく、神を欺いたのだ。」
この言葉を聞くと、アナニアは倒れて息が絶えた。
そのことを耳にした人々は皆、非常に恐れた。
若者たちが立ち上がって死体を包み、運び出して葬った。
それから三時間ほどたって、アナニアの妻がこの出来事を知らずに入って来た。
ペトロは彼女に話しかけた。
「あなたたちは、あの土地をこれこれの値段で売ったのか。言いなさい。」
彼女は、「はい、その値段です」と言った。
ペトロは言った。
「二人で示し合わせて、主の霊を試すとは、何としたことか。見なさい。
あなたの夫を葬りに行った人たちが、もう入り口まで来ている。今度はあなたを担ぎ出すだろう。」
すると、彼女はたちまちペトロの足もとに倒れ、息が絶えた。
青年たちは入って来て、彼女の死んでいるのを見ると、運び出し、夫のそばに葬った。
教会全体とこれを聞いた人は皆、非常に恐れた。
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これあの、どうみてもお布施を強要する今日の悪徳新興宗教なんですが。
アナニア氏が死ぬ件はまあ、ショックとして理解可能ではあります。
ところが妻のサフィラの場合、客観的に見る限りではペトロ氏が脅迫して殺している。
「もう入り口まで来ている。今度はあなたを担ぎ出すだろう。」
というくだりは最高ですな。
「青年たちは入って来て、彼女の死んでいるのを見ると、運び出し、夫のそばに葬った。」
この部分はマインドコントロールされたオウムの信者みたいです。
まあ勿論、これは実話ではないでしょう。
そこらに流布している「ありがたいお話」を収集編集して「使徒行録」に採用しただけ。
これほどむちゃくちゃな人物にされてしまったペトロ氏はお気の毒様です。
この「聖書」というのは読んでいくとこのレベルの話が結構多い。
「死人を生き返らせた」「病人を癒した」「わけの分からないことを話した」
こういうすごいことを行なったから、人々が「イエスキリスト」を信じるようになったというロジックが極めて多い。
言説そのものの価値によってではなく、奇跡を起したから信じたという展開です。
上記の「アナニアとサフィラ」の逸話にせよ、使徒行録に採用されたのは教会の威光付けという明確な目的あってでしょう。
「逆らうと死ぬ!」といった頭の悪い心情の表れか。
聖書とはいえ、所詮人間が編集したものである以上欠点はいくらでも出てくるものです。
むしろ著者編集者含めた人間の欠点を修正せずにそのまま残している点にこそ、高い価値があるんでしょうな。
次はあの有名な「イスカリオテのユダ」さんの予定です。


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