第六章

付加修正条項


以上六章までで私の主張は終了しております。
本章にて述べられるものは、自分の論述は本当に適正なものであるかという点に関する事項です。
ここでは、本論を訂正するのではなく、修正条項を後に付加するという形を採用しております。
思考の変遷をとらえていただけると、よりクイズゲームに対するご理解が増すものと確信しております。
なお、本章は五章までの執筆から二週間の時間をあけた後、追加しました。

ここにおいて述べられるものは以下です。

ここでの問答の焦点はクイズゲームにおける出題傾向にあります。
「アニメ・ゲーム・芸能」問題の妥当性に関わる議論です。
五章までをお読みになり、私の見解を把握した後にお読みください。

それでは、本論に。


『クイズゲームを楽しむために』熟読玩味させて頂きました。

クイズプレイヤーの言いたかった事をしっかり代弁されている、全体を通してそういう印象を受けました。
特に「クイズ」と「クイズゲーム」との違い、そしてそこにこそ「クイズゲーム」の限界やジレンマが存在するとの言及には、はっと胸を打たれる感じがしました。

これは実際にやり込んだ人なら感じ、しかし文章として表現できなかった部分ではないでしょうか。
そういう意味で、実際にやり込み、そして明晰な文章力のある氏だからこそ出来た、それが功績ではないかと思います。

ただ、ちょっとだけ気になった部分がありましたので、苦言を言う事をお許し下さい。

全体を通して、

  • 文系・理系・歴史・地理系クイズ=良質
  • アニメ・芸能・ゲーム系クイズ =悪質
    というニュアンスを受けてとれます。
    しかし、これはどうかと思います。

    個人の好みにも大きく左右されますが、アニメやゲーム系のクイズの方が得意という人も実際多いですし、そういう人にとっては、恐らく氏とは全く逆の見解を示すことでしょう。

    • <実例1>
      昔ある同人系のソフトで、ジャンルがゲームとアニメしかないというクイズゲームがありました。
      どうしてそういうのを作ったのか?
      開発者のコメントによると
      「だってたくさんジャンル用意したって、どうせそれしか選ばれ無いだろうから。実際我々はいつもそうだし」

    • <実例2>
      以前、軍事関係に詳しい方とクイズゲームをプレイした事があります。
      戦闘機や戦車、戦史など、私から見るとマニアックとしか思えない問題を当たり前のように答えていきます。
      その人曰く「だって誰でも知ってるような基本的な事ばっかりだもん」
      逆に私にとっては誰でも知ってるだろうと思えるような、文学や理数系の知識を問う問題には手を出しません。
      曰く「そんな専門家しか知らないよう事答えられないよぉー」
    これらの例が示す意味をご理解頂けるでしょうか。
    一般に自分の得意な物(好きな分野)は「認め」、苦手な物(理解出来ない物)は「認めない」傾向にあるようです。
    そう決める事で、自分の理解出来ない分野の事は「なんだか分らないもの」として蓋をしてしまうのかもしれません。
    これは人間として通常の行動と思います。恥ずべき事ではありません。

    ただ「クイズ」を極めるのであれば、それではいけません。
    選り好みせず、得意な事も不得意な事も、高度な知識から些細な知識まで、森羅万象に"平等に"興味を持ち知識化する事が必要です。
    クイズで頂点を極めるのは、東大に合格するより難しいと言われる所以です。

    それとは別に「クイズ」ではなく「クイズゲーム」特有の特徴として、アニメ・芸能系が多い方が一般にウケる、というのもまた事実ではありますが。

    文章下手で言いたい事が上手く伝わらないかもしれません。
    ほんの少しでも気持ちを汲み取って頂ければ幸いです。


    筆者の御返答

    詳細な御感想をどうもありがとうございます。
    かなりの時間をかけた文書であるので、人様に読んでいただけたとお聞きできるのは大変にうれしいものです。

    自分の問題に対する指向性についてのご指摘、仰るとおりですね。
    自分の友人も犬福をやって、「アニメ」関係の問題ならばほとんどわかると申しておりました。
    日本初のOVAの名前はダロス、と知っているような人間です。
       (注、「すくすく犬福」100問モード90問以降に「日本初のOVAは何か?」という出題があるのです。)
    このように、アニメに関する深遠な知識を常識と感じる方も結構いらっしゃるのでしょうね。

    また逆の例を上げるならば、以前渋谷会館(東京都渋谷区のゲームセンター)でのことです。
    「虹色町」を100万点超のスコア(自分のスコアは40万程度)で余裕でワンコインクリアなさっていた方を目撃しました。
    彼は「理科」「社会」のジャンルがあるときは迷わずそれをセレクトし、そうでないときはジャンルセレクト無しでした。
    恐らくこの方は、自分と同様な指向性の持ち主なのであろうかと思います。

    同人ソフトの例をお聞きするにつけ、多種多様なプレーヤーがいるものだと思い知りました。

    クイズゲームにおいては、出題の分野は根幹をなす重要な要素ですね。
    実際アニメ芸能関係の問題は、答えを覚えること自体は難しくないですよね。
    人名などの記憶に残りやすい文字列ですから。
    「バイク」の「V−MAX」「モトクロッサーRM」「NSR500」「RGVー500」といった無機質な型番の名前を覚えることに比べたら。
    一回見ればたいてい覚えられますよね。

    この分野に関しては、自分も執筆中に矛盾を感じた箇所でありました。
    クイズは「実用性がないことが重要」とか「様々な知識を得られる」と書きつつ、アニメ芸能関係の出題は好ましくないと論を進めているからです。

    特にクイズゲームはあくまでエンターテイメントなわけですから、楽しめる出題は大切ですよね。
    自分もなんとかいいつつ、「アキラ」や「めぞん一刻」の出題を初めて犬福で見たときには思わずうれしくなったものでした。


    まとめ

    上のやりとりを見ますと、私の偏った見解が明確になってきます。
    原因として考えられるのは、やはり「アニメ」「芸能」はに詳しくないために当該問題に対する苦手意識を抱いていることでしょうか。
    自分が「虹色町」をプレイしたときは、問題は「芸能」「マンガアニメ」の順に覚えてゆきました。
    それでも、実際にクリアを目指してプレイするときにはジャンルセレクトでは迷わず「理科」「社会」を選択してしまいます。
    苦手意識は拭いがたいものですね。


    クイズに取り組むこと。
    それは多様な分野に触れ、その一端をかいま見ること。
    多様な知識をまんべんなく吸収すること。
    世界の多様性を認識すること。

    そして、
    知識に序列を設けず、偏見を捨て去ること。

    散文詩形態となりましたが、、これこそがクイズの意味なのかも知れないと感じるところです。


    以上第六章でした。

    戻ります。 inserted by FC2 system inserted by FC2 system