ThunderForceV考察
副題が本論の主題です。
以上に基づき,2003年の視点で比較を行なうことで、サンダーフォース5(以下TF5)を振返ってみたいと思います。
このTF5はバランスが良くないゲームと評価されます。
図をみると明らかですが、自機が画面左端にいる場合、レーザーの射程はほぼ画面全体となります。
広い射程範囲と高い攻撃力の両者を兼ね備えているので、フリーレンジ以外の武器が不用と評価されるわけです。
攻撃力が高いだけならば、それはそれで許容範囲内でしょう。
以上の見解はあながちに間違いは断言できません。
以上の経験に基づいて、このTF5に(特にフリーレンジ関係)考察を加えてみたいと思います。
そうしてボス戦を分析して行くと、普段は瞬殺しているのでみられない攻撃を多数処理して行くことが必要となります。
また道中にしても、フリーレンジのない場合は全ての武器を満遍なく使用することが要求されます。
すなわち、「ボス戦の攻撃パターンの解析」という概念自体、普通のプレーヤーは持たないでしょう。
かといって、誘導概念の不要なボスの攻撃パターンを作るとどうなるでしょうか。
すると唯一残るは体当たり系即死攻撃のみ。
そうなると残るは、正面から散発的にばらまいてくるような攻撃以外の選択肢はなくなります。
ハードやマスターをメインショットのみ、さらにはバックショットのみでクリアすることもウェブ情報によると可能であるそうです。
ハードをノーコンティニュークリアすると、マスター難度が選択できるようになります。
普通にシューティングをする場合は、基本的に難度ノーマルで何ができるかを追求することになります。
欠点も多いですが、それを差し引いても十分に遊べる作品です。
サンダーフォース5はいかなるゲームであったか。
2003年某日、中古店で「サンダーフォース5デラックスパック」(サウンドトラック付き限定版)を購入しました。
サントラを聴き、何年ぶりかのプレイ。
感慨深いものです。
主としてTF5をご存知の方を読者対象として想定しておりますが、そうでない方のためにも基礎的な解説を少々交える予定です。
本文によってTF5に興味をお持ちくださる方が、もしくはもう一度遊んでくださる方がいらっしゃれば、筆者としてそれに勝る幸せはありません。
テクノソフト、1997年、セガサターン
筆者はこちらをプレイしております。
中古販売店でも、比較的容易に入手できるでしょう。
この名称で、プレイステーションにも移植されているようです。
グラフィックが少々劣化しているものの、ラスボス戦のバランスは改善されているとの事。
PS,SS版ともに一長一短の模様です。
ただPS版はボス連戦モードという素晴らしいおまけが付いているそうです。
(本作では、武器アイテム出現場所は決まっており、かつミス時に使用していた武器は失われます)
フリーレンジは,左写真で使用されている武器です。
自機前方に緑色のワイヤーフレームが伸びているのが確認できるでしょう。
(ワイヤーフレームは自機から離れるほどに範囲が広くなります)
そしてこのフレーム内部に敵が進入すると、自動的にレーザーが照射されます。
(左図で緑線が収束しているのは,該当個所の敵に攻撃を加えている場面です)
そしてレーザーの攻撃力は,自機に接近するにつれて上昇します。
(左図では赤の楕円が書き加えてありますが、自機手前の最小楕円の部分で威力が最高となる)
すなわち、雑魚が出現するやいやな抵抗の余地を与えることなく葬り去ることが可能です。
そして自機に接近した場合の攻撃力は、前方収束レーザー(メインショット)を大きく上回ります。
通常のシューティングにおけるワイドショットもフリーレンジと同じ性質を持ってますよね。
すなわち、画面下で雑魚を登場即破壊し、中型機には貼りつきでショットを全弾命中させて大ダメージを与えるのです。
ところが一つ,問題が生じます。
それは接近フリーレンジの攻撃力が異常なまでに高いという点です。
すなわち、ボスを秒殺可能な攻撃力です。(5秒以下でボスを葬ることができるほど!)
いささか,程度問題で済ます事のできない事態です。
しかし最大の問題となるのは、ボス級の敵は瞬殺を前提とした設計が為されているという点にあります。
すなわち、少しでも破壊が遅れると回避が著しく困難な攻撃を仕掛けてくるのです。
それ故に、フリーレンジをなくしたら終了と評価されるのです。
ただ、それは果たして真実でしょうか。
それを確認することこそ,今回の動機でした。
そこで、以下の条件で本作をプレイしました。
スコア度外視ですし当然ミスもしてます。
(スコア度外視の、ミスありの、フリーレンジ使用です)
ハードモードフリーレンジ封印プレイの過程は、こちらにございますのでご参照ください。
「フリーレンジをなくすと終了」という見解は、ボス戦の攻撃パターンを把握していないからこそ発生するものではないでしょうか。
そもそも、シューティングゲームにおいてボス戦のパターンを詳細に分析するには当然のこと。
そして全攻撃パターンを暗記して対応策を練る、これこそがボス戦で勝負の土俵に上る前提条件でしょう。
これがまた、以下のようなシューティングの定石である楽しい場面がそろっています。
フリーレンジがない場合の方がシューティングとしての面白みは増す、このように考えて良いかと思います。
この武器の使い分けがまた面白いです。
通常は使用個所が4面のブロック落下地帯しかなかったウェーブです。
しかし、2面のの障害物の陰の岩、同ボス、また全面通しての雑魚の登場即破壊など、実に多くの場面で役に立ってくれます。
前作であるサンダーフォース3,4にあった武器チェンジの面白さが発見できます。
上記の長所が、そのまま短所となるのではないでしょうか。
(それ以前にパターン化という発想すらない場合がほとんど)
また敵の攻撃パターンというものは、基本的にプレーヤーがシューティングの基本原則を理解していることが対処の前提条件となっています。
(すなわち、敵弾誘導の概念があること)
それが無い場合は、無駄に厳しく面白くないアドリブ避をせざるを得ない羽目になり、にっちもさっちも行かなくなるはずです。
この程度しかないはずです。
前者は「偶数、奇数弾」という理解がない限り対応不可能ですので、基本的に誘導と同じく普通は無理です。
そこにおける対応策は、完全なる暗記しかないはずです。
体当たりによるミスはその不条理感からストレスが極めて大きいですし、結局は完全なパターン化にゆきつくしかありません。
決して一般プレーヤーは楽しめないでしょう。
簡単にも難しくもできるでしょうが、きっと面白くはないはずです。
極端に強い武器がないならば、高い攻撃力は何らかのリスクを伴うかたちにならざるを得ないでしょう。
(逆にいうならば、リスクと攻撃力のトレードオフが破れている点にフリーレンジの強さがある)
メインショットは前方のみの攻撃ですが、射程が長いのでリスクは少ないです。
ならば残るは、敵接近攻撃しかないはずです。
すなわち今回のプレイでのハンターのオーバーウェポンの早回しです。
(詳しくはこちらのフリーレンジ封印プレイ記録参照)
このような発想は、基本的に何らかのシューティングでみたことがない限りは思い至らないのではないでしょうか。
もっとも、説明書にその基本テクニックを明記しておくという手段があります。
私はプレーヤー自身の上達を促すという意味で、このような親切さが一番大切ではないかと思うのですが。
上の「敵弾誘導」にしても同じです。
ただそれは著しく難しいでしょうし、あまりに特殊過ぎて参考にならないですよね。
フリーレンジは、自機移動方向の反対側に照準のワイヤーフレームを展開するという基本性質を持ちます。
任意の方向に向けるのは、実は容易ではないです。
特に(難度)ノーマルならかなりのもたつきも許されますし、ハードでもそこそこの余裕があります。
しかしこれがマスターになった場合はどうでしょう。
自機の移動方向を完全にパターン化し、流れるような方向転換を行なわないと敵の出現に対処してゆくことができません。
ウェーブにバック、ハンターのオーバーウェポンと武器を使い分けてゆく方がよほど簡単です。
武器の使い分けならば、武器使用順をパターン化するだけです。
必要なパターンの精度が、フリーレンジ使用の場合のそれに比べて比較にならないほど低いです。
ハードであっても、武器使い分けの方が楽な場面はかなり多いのですねえ。
という点が、本TF5のもう一つの問題点であると言われます。
こればかりは誠にその通りで、サターンのポリゴンの汚さもあってどうにもならない欠点ですね。
(実際どう見ても当たっているのに、判定のない部分が存在する)
基本的に繰り返しプレイして、実際に体当たりして調べる以外に対処法がありません。
不快感が募りますねえ。
フリーレンジでボスを瞬殺して行けば、そのような攻撃に直面することはありません。
逆にいうとこの点こそが、「フリーレンジをなくしたらおしまい」と評価される所以です。
実際これは欠点、と評価せざるを得ないでしょう。
フリーレンジ使用を前提とした設計が為されているのは間違いないです。
回避困難なな攻撃のためにバリアがあると考えるのです。
フリーレンジ封印プレイ記録を参照くださればよいですが、難度ハードでもそのような攻撃はわずかです。
(1・2ボス、4面道中と、6・7ボスの難所を除けば3つしかない)
バリアの消費を十分にパターン化することが可能な数ですよね。
理屈の上だと、ノーボムで進めますよね。
しかし私、1年以上やってまして怒首領蜂大往生の5ボスはノーミス1ボムで倒したのが最高です。
結局ボムの使用は計算に入れられているわけで、バリアだってこれと同じですよ。
率直に言うと、この難度にするとかなりシューティングらしくなってきます。
すなわち左図。
敵弾をひきつけて避け、間隔を抜けて切り返し。
道中もそれなりにパターンを組まなくてはいけなくなるので、かなり面白くなってきます。
だからその、少々発想を変えて難度をいじるという行為に走ることが必要なんでしょうか。
ノーマルは簡単過ぎるというのが通常の感想でしょう。
しかし、シューティングをしない人にとってはあれですら難しいようですので。
家庭用ゲーム機のシューティングですから、やはりだれでも遊べることが大切ですよね。
ただ、マニュアルにこの程度の注意書をする親切さはあってもよいかと。
「普通にシューティングをしたい場合は、マスターで遊びましょう」
以上です。
あの音楽に演出の素晴らしさは、今見てもすばらしいですね。